国立大学は、世界レベルの競争に参画する「ナショナルセンター」としての役割と、地域や社会の発展に貢献する「リージョナルセンター」としての役割とを担っており、卓越した研究とそれを反映した教育によって優れた人材を世界に輩出する一方、比較的低廉な学費と地域的に偏りなく設置されていることにより、高等教育の機会均等の保障と地域における高度な人材育成の拠点としての重要な役割を果たしています。
本年3月に国立大学協会がまとめた第1期中期目標期間の検証結果では、法人化以後各大学が、存在感のある個性的な大学の創生を目指し、それぞれの特色を活かした質の高い教育の提供や基礎的・基盤的研究活動を一層推進していること、また、各大学の独自の戦略で、地元企業や地方自治体との密接な産学官連携の活性化、海外の大学との協定や留学生の受入れの拡大など国際交流の拡大、地域医療の最後の砦として附属病院を核にした地域への医療貢献、開かれた大学として社会への積極的な情報発信をするなど、学長のリーダーシップのもと、法人化の特性を踏まえた様々な取り組みを精力的に進めていることが明らかになっています。
こうした努力にもかかわらず、日本の高等教育に係る公財政支出の対GDP比率は、OECD加盟国中最下位でかつその平均の半分にも達しておらず、このことは国立大学の経営のみならず日本の社会基盤の安定化にも深刻な影響をもたらすことから、国立大学協会では、公・私立大学とも連携しながら、大学関係の予算は「未来に対する投資」という性格を持つことを意識し、政府と大学界との対話を強く求めていきたいと考えています。
東日本大震災後の状況の中で、大学の教育・研究には、被災地の復興、日本再生の柱の一翼として大きな期待が寄せられているとともに、諸外国が教育・研究の振興を重要施策の一つに置いて国際間の競争が一層激化しているという重要な局面において、国立大学の機能を更に強化していきたいと考えています。そのために、不断のマネジメント改革を行うとともに国立大学の教育・研究・社会貢献に関する活動を可視化し、国立大学の責務を十全に果たしていけるよう、ステークホルダーや国民への働きかけを行っていくことを引き続き進めてまいります。
国立大学を巡る状況が厳しさを増す中、これまで以上に全国の国立大学へのご支援ならびに国立大学協会への温かいご指導を賜るようお願い申し上げて、ごあいさつといたします。