国立大学協会

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会長挨拶

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会長 永田 恭介(筑波大学長)

 

 グローバル化が進む世界は、環境やエネルギー、食料などに関する地球規模課題を多く抱えています。さらに我が国は、世界に先駆けて少子高齢化や労働人口の減少に直面しており、これらの課題は、過去の経験だけでは解決することが困難です。

 

 国立大学は、それぞれが特色を有する86大学で成り立っています。約6万人の教員は、60万人を超える学部生・大学院生の教育を担うとともに、多種多様な研究を展開しています。こうした多様性は、過去の単純な延長線上に未来を描くことができない社会において、あらゆる変化や可能性に柔軟に対応し得る力の源泉でもあります。

 

 全ての都道府県に置かれている国立大学は、イノベーションの創出や優れた人材育成を通じて各地方(地域)の活性化の中核を担ってきました。国立大学は、各地方(地域)の文化・社会・経済を支える拠点であり、地方(地域)の産業、医療、福祉、教育などに責務を負っていることを自覚しています。人口減少や産業の知識集約型へのパラダイムシフトを背景に地方創生が我が国の重要な課題となる中、近年一層高まる国立大学に対する期待に応えるべきだと考えています。

 

 人材力は人数と能力の積で表わすことができます。人口減少が進む我が国において、人材力を向上させるためには個々の人材の能力を高める必要があります。具体的には、大学における教育の質を高めるとともに、これまで見出されてこなかった才能を発掘・育成することで実現できると考えます。そのための入試制度や教育コンテンツの見直しは必須であり、各大学が独自性を発揮して取り組まなければなりません。

 

 人材育成における国立大学の強みは、卓越した研究を基盤とした教育です。世界では、深い専門性と実践力、幅広い視野を備えた優れた博士人材が求められています。彼らは、あらゆる分野でイノベーションを起こし社会を牽引していくからです。こうした現状に鑑みれば、諸外国に比べ修士は約3分の1、博士は約2分の1である我が国の学位取得者の割合の低さは解決すべき課題です。各国立大学が自らの特性を活かして大学院教育の充実を進めるとともに、企業における処遇面での学位の適正な評価や学修に専念できる経済支援の充実など、多方面での取り組みが必要です。

 

 これら国立大学が重要と考える役割を果たすためには、各国立大学が特性を活かして展開すべき取り組みと、国立大学が総体として挑戦すべき取り組みがあります。国立大学協会の使命は、86大学が一体となって地方を支え、我が国を支え、世界と伍していく集団としての機能を高めることであると考えています。

 

 2020年は国立大学協会設立70周年の記念すべき年です。関係各位には、国立大学及び国立大学協会に対し引き続きご支援を賜りますよう、よろしくお願いいたします。