第1部 調査結果の報告

2 教員免許基準の改定に伴う教員養成カリキュラムの現状と新しい対応について

5. 教員の資質向上方策への意見や提言
 最後に【問16】として、教員の資質向上のために、どのような懸念と課題があるか、また解決のためにどのような措置が有効と考えるか、自由に記述してもらうことにした。以下はその概略である。
 49大学・学部の内、完全に空欄だったのは3校だけでほとんどの大学・学部が懸念や課題の指摘、また解決に向けての有効策の提言をしている。
 記述内容は多様で、多岐にわたるが、整理すると次の4点になる。
(a) 教員の待遇改善により教職への魅力を高めること
(b) 大学教官の意識改革
(c) 現職教育との連携と大学院へのシフト替え
(d) 教科の力量低下への対策
そして他に全般的に教員養成の将来に言及しているものがある。
(a)の待遇改善による教職への資質ある学生の吸引を計らなければならないという声は多く、かつ高い。以下に2例あげる
   「現状では教員への就職が困難で、学生に教員になれるという希望を与えることが困難である。30人学級や複数教員制など教員需要を増やし、教員になれる条件を増加させないと教員の資質向上も図れない。現状は学生に無理を強いているだけといえよう。意欲を持って教員になれる条件をつくり資質向上を言うべきであろう、今はこの点では無策といえる」
 「教員養成の教育面だけで資質の向上は難しい。教員の職業自体の魅力がなくなっている。学校現場の加重労働、職場の体制、待遇等、問題が多く、教員養成学部への進学・意欲がわかず資質を持つ学生が減ってきている。
 学級定数の改善、チームティーチング、職場の体制の改善など、労働条件に明るい見通しがあれば、もともと有能な資質を持つ若者が教員を目指すようになる。資質の向上は教えるものより学習するものの意欲の問題である。又、学校教員から教員養成機関の教育者への道を制度的に明確にすることで、更に意欲的な学生・教員は増える」
 (b)の大学教官の意識を教育や教員養成に向けるようにしなければさまざまな改革策も絵に画いたもちになりかねないという指摘は、数が多いわけではないが切実な声として出されている。
 「教員養成を行うためには、教員現場の状況を適確に把握する必要があるが、これまでの教員養成学部にあっては不十分ではなかったか。その原因は大学教員に求められている教育と研究の二面性にあり、昇格等に関係して研究に重点が置かれている現状である。
 このことの有効な解決法として、大学教員の小・中学校等の現場の教壇に立ってみるなどが考えられる。これには受け入れ側の問題もあり、慎重に試行錯誤を繰り返しながら進めてゆくことが必要であろう」
 「@大学教員の自己研究傾斜を教育研究へ転換する工夫が必要。A大学教員を学校現場へ定期的に派遣し、学問の実践化を自ら体験、体系化する等の研修期間の設置。B研究論文以外に昇任の条件として、その職名期間における教育論文の義務化」
 次には(c)として、教員養成の現行システムそのものの行き詰まりが指摘されている。学部教育は現職教育と連携したり、教員のリカレント教育の一環として学部段階の養成を考えなければならないという指摘があり、当然それは教員養成大学・学部の大学院シフト化へと結びつくことになる。実際、全国的に講師経験を経なければ採用されず、それも5年経験などが多くなっている現状を考慮すれば従来の養成カリキュラム、初任研、現職研修の各内容には、あまりに重複、浪費が目立つようになっている。今後最も重視されなければならない観点であろう。
 「教師には、直接子どもと対面しても学び得ないことが多いと思う。資質向上は、大学を終えて教師になってからの研修を含めた努力の結果達成できるもので、養成教育ではせいぜい資質向上のための基礎教育になると思う」
 「教養審第1次答申のめざすところを具体化するにあたり、学部4年間のみでは十分な資質向上は期待できないことが懸念される。そのためにはむしろ、学部4年間のカリキユラムに接続する大学院カリキユラムを準備することで、教員としての基礎に加え実践的トレーニングと、さらに教科内容の充実を図ることが必要であろう。
 学部卒業後、採用された者が初任者研修を受け、また「臨採」で数年経験を積む現状をみれば、6年間の実践重視のカリキユラムをこなし、専修免許状を取得して現場に出ることが今後の資質向上につながると考える」
 「養成段階の改善も必要であるが、現職再教育の問題が最重要と考える。教員が常に自主的に向上、努力の必要性は当然であるが、その為の環境整備(勤務条件、学習機会の豊富化、経費負担など)について、積極的な施策が求められる」
 (d)学部学生の教科への学力低下を心配する声はかなり多い。特に実践的、臨床的科目の増大に反比例してそのような傾向が増大するという指摘、あるいは憂慮がある。当然、それに対する対策への提言もある。
 「昨今の教職能力についての議論が、あまりにも実務的な対処療法的な能力の重視に傾きすぎているように思われる。単に教育問題に対する生徒指導面のみならず、真の学力形成をめざす学習指導面の能力、わかる授業、学習意欲を喚起するような教員としての能力の育成が求められる」
 「学校現場で起こる課題の処理療法が中心になりすぎているきらいがある。重要で根本的な問題は、授業を楽しくすることであり、児童・生徒の存在感をもたせることである。そのためには学習指導要領等など型に縛られるのでなく、もっと自由に創造的なカリキュラムが組めるような力、教科を教える力が必要である。これらを実現するためにも学級定数の改善が急がれる。多くても30人が限界ではないか。そうしたことも含め、教育に金をかけることである」
 「教職関連科目、実践力の育成は重要であり、それらの単位数を多くしたことは望ましいが、一定の単位枠の中で行ったことは、基礎的教科専門の学力を下げる危険性もある。
 これを解決するためには、カリキュラム構成とその履修指導をより徹底し、教職志向を高めると共に易きに流れないようにする必要がある。具体的な対応としては、小クラス授業、演習、実習(体験学習を含む)等の一層の充実による、きめ細かい指導を展開して知と実践を結びつけた真の課題解決力を育む方式を採用する」
 最後に、5,000名削減に直面しての教育大学・教育学部の将来への不安が語られ、教育行政への不満もある。
 「教育学部は、他学部と異なり、全ての学校種・全ての教科の教員養成を行っているが、5,000人問題だけでなく今後の定削への対応などを強いられることから、現在の養成体制をどう維持できるかが心配である。
 国立は、教員養成に関して、国や社会が求める様々の改革をまじめにやっているのに、それがそのまま採用に反映されないことに焦りがある。しかし、そうはいっても、より積極的に教員養成改革に取り組むしかないと考えている」
 そうした現実を踏まえて、新しい教員養成を考えようという提起があることも大切なことである。
 「教員採用が内定した4年次生が、2月〜3月に公立学校で実習して現場の理解を図り、自信を持って教職につくための準備ができることが望ましい。
 教員の職能発達の見通しに立つ教員養成のあり方と初任者研修との連携及びプログラム一貫性を確保すること。
 教職関係だけでなく、社会人としての幅広い知識・良識を身に付けること。
 これらの解決のためには、教育委員会とのすぐれたパートナーシップの構築のもとに、地域学校の教育に資する教員の育成という観点から、関連するカリキュラムを大学と教育委員会とがタイアップして開発し、相互に有用な人材を円滑に活用できるようにすること。また、新採1年目に社会人体験、ボランティア体験等の機会を積極的に取り入れることであろう」
 「進学率の増加に伴う学生の多様化が生じ、従来のような均一の教員養成の教育内容では対応しきれなくなる日が近づきつつある昨今、単位数がそろえれば免許が取得できるという現在の体制にはゆきづまりがある。特に教員の資質向上という点で大学の教育の質、特に学生への授業方法、評価を厳しくすることのみならず、学生の教育を充実できる教育方法が必要である。そのためにも附属学校の教育実習では現実感があまりに薄く、介護体験よりも一般校でのボランティア活動を体験させるべきであろう」
 「教育現場が魅力あるものになること。現状は教員自身が疲労の極にある。
 教育現場の環境と条件の改善が先決。教員定数及び一学級当たりの児童・生徒数の削減等、ベースとなるインフラの再構築を今こそ行うべきである。もって、意欲と能力ある若者を教育学部に惹きつけること。
 養成教育の内容と方法については、抜本的な見直し、改善が必要。対症療法的な教育課程の改訂は一時的な急場においてさえ有効であるかどうか疑わしい。教員養成系学部及び大学院の条件整備を急ぐべきである。
 教育現場との連携のもとに教育実践学の構築と専門家養成とを急ぐべきである」
 以上のように教育大学・学部では改革・改善の必要性、その項目も見えているのに現実に有効な対策が実現できないことにあせりを見せつつあるように思われる。

 教員の資質向上に関しては、学長からも多くの意見が寄せられたことは注目される。
 「教員の資質向上の課題を、大学における教職課程の問題にだけ還元していく思考様式が気になる。教員の資質・力量は、何よりも実際に教員になってからの、その教員の経験と問題意識に基づく自主的な学習・研究を通じて高められるはずです。その点で現職の教員の自主的研究を尊重し、保証するという視点に立って、それに対して大学は何ができるかを考えていく必要があると思われます。」
 「大学教育は大綱化のもとでカリキュラムが自由化されたが、教員養成については、細分化の方向にあり、にもかかわらず「教職に関する科目」の専任教官数は、今回の教育職員免許法(大学における教員養成の課程をおく場合の審査内規)では減らされた。一般大学においては、これは大変大きな問題である。」
 「その時々の社会的課題に対応するとして、新しい科目を次々に増設したとしても、教員の資質の向上に必ずしもつながるものではない。単位を増やせばよいというものではない。教員になりたいという熱意ある学生が実際に教職に就けるように採用率を高めたり、現職教員の過重な負担を軽減し、教職を魅力ある仕事とすることがより重要であり、有効である。」
 「教員という枠をはめすぎて適性よりもペーパーテストで採用を決めるシステムを変えるべきだと思う。質の向上のためには、収入を増大(現在の1.5倍ないし2倍)にして資格(教員養成コースはなくする)は大学卒でよいと思う。実習科目(音楽。体育など)は専門の人が担当すればよい。」
 「免許法改正(1988、1998年)の度に、教職科目の充実、単位増が見られ、人材・施設とも学外者に依存する度合いが高くなっている。カリキュラム上においても、これらのことに配慮した工夫が必要ではないか。」
 「教員養成の教育面だけで資質の向上は厳しい。教員の職業自体の魅力がなくなっている。学校現場の加重労働、職場の体制、待遇等、問題が多く、教員養成学部への進学意欲がわかず、資質を持つ学生が減ってきている。学級定数の改善、チームティーチング、職場の体制の改善など、労働条件に明るい見通しがあれば、もともと有能な資質を持つ若者が教員を目指すようになる。資質の向上は教える者より学習する者の意欲の問題である。また、学校教員から教員養成機関の教育者への道を制度的に明確にすることで、さらに意欲的な学生・教員は増える。」
 「教職科目を重視することに意義は認めるが、教科指導がおろそかになりはしないかと心配がある。得意とする教科を持たない教師が誕生することになるのではないか。教職科目と専門科目とのバランスをいかにとるか、関係者間の十分な検討が必要である。」
 「教師の資質と能力全体の基礎となるのは、自分が教えることをよくわかっているということである。この基礎がしっかりしていて初めて、生徒がどこで躓いているかを理解し、生徒個々人に応じた適切な指導を工夫できるのである。現代では、丸暗記教育が螺旋的に拡大して行くのみであろうと心配する。十分な一般教養と担当すべき教科とそれに関連する諸分野の十分な理解を持つ学生で、教師になる意欲と熱意がある者に、大学4年間を終えた後に1〜2年間の教職課程を施すようにすべきである。これ以外に戦後教員養成制度の二つの指導理念を生かす方法はないであろう。」
 「時代の変化に教員が即応することが必要。そのため現職教員が生涯学習しやすい環境作り(大学院派遣などを含む)が有効。」
 「教科専門の授業は、一般大学では実際上減らせない。教員養成の充実のために教職の授業を増やすのならば、教職の定員への配慮をしてほしい。講義を増やしすぎると、学生が益々受動的になり、浅く広く画一的になるおそれがある。学生の意欲喪失の最大の原因は、近年採用が少ないことにある。とにかく採用を増やすこと。法改正時は、経過措置を配慮してほしい。」
 「教員は児童・生徒を教育指導することである。まず教育研究だけでなく自分自身が多くの人と関わり、児童・生徒が何を求めているかを察知し、指導上活用していくことが必要。それには子供らと触れ合う数多くの機会を持つこと。また自己点検・評価や授業評価などを取り入れ、いつどこでも学び取る姿勢が大切。」
 「義務教育教員については、リフレッシュ教育、大学院への入学などにより義務教育教員としての専門性、使命感を高める。これに対応して教員養成大学のカリキュラムも重心を教科教育から義務教育関連へと移す。」
 「恵まれない教育条件を大幅に改善、向上させることである。各種の教育、研究機器の整備、実験室、演習室等の設置、充実が必要である。」
 「新卒の採用者が多ければ、それなりに意見があるが、新卒の採用者が少ない時期に免許法の改正によって教員の資質の向上を図る意味は薄い。人事が停滞している現在のような時期は、現職教員の再教育の方の手当を優先すべきではないか。」
 「教職専門と教科専門の能力のバランスが必要。」
 「免許法改正の度に、免許取得のため必要な単位が増え、学生のゆとりがなくなる。ガリ勉型の学生しか教師になれなくなる。教師採用の門戸を広げ、多様で質の高い者を教師に採用し、現職教育で質を高める方が有効である。」
 「教育に対する使命感をもった学生が少ない。方策として、教育実習期間を長くして実体験により使命感を持たせていく。」
 「教員養成の段階よりも、教員になってからの研修が大事。研修は、教員が自由に自主的に勉強できる時間的余裕と、研究費の確保が大切。そのためには教員の定数を大幅に増やすことが必要。」
 「採用数の改善、現状だと能力・意欲の持ち主は教員を志望しない。かってないほどの教員人材難となる。」
 「大学院(一般大学)での専門的かつ教育指導の研修システムが必要。また、学部卒業後1年間のインターン制度が必要。」
 「制度があまりに頻繁に変わると、作業量も多いし、安定性がない。やや、型にはまらない人間も、教師になれるよう考えていかないと、教員世界が狭くなる。」
 「我が国の将来を担う子供達の初・中等教育はきわめて重要であり、国の基本政策の最も重要な一つであり、国としてもっとも重点を置くべきものである。優秀な人材が一人でも多く教員を目指してほしい。そのためにも教員の社会的地位を高め、関係学部の充実を図る努力が必要である。」
 「教師になることへの理念の欠如を直したり、子どもをどう育てるかについての基本的姿勢への学習が必要である。」
 「教育に力点を置くように大学の教官の意識改革が必要。」
 「採用枠の減少は教員志望学生の熱意をそぎ質的低下を招きかねない。例えば20人学級や、生涯学習指導員制度等により、雇用を拡大すべきである。」
 「将来、教員になりたいという強い意志を持った学生が少ないのではなかろうか。いかにして職業意識を植え付けるか、教官側の責任は重い。」
 「副免取得のため、学生達は過密な授業・科目履修を余儀なくされているように思う。教室の中だけの学習ではなく、インターンシップや介護実習などでの現場体験を通じて実際的な感覚や知見をみがくことが肝要と考える。」
 「教員免許法の改正や教員採用試験の激化によって、採用される教員の資質は益々向上することになるであろう。そのような中で、大学とりわけ教員養成学部はどのような形で現職教育に貢献するのかを考えなければならない。もっとも具体化しやすいのは大学院(修士課程・博士課程)プログラムの創設であり、それにより今後はより多くの現職教員の研修・再教育に貢献すべきであろう。
 学問的基礎、実践上の成果をふまえて、新科目を設定してほしい。」
 「新採用教員が、採用当初から戦力になるとは考えられない。経験に基づいた指導を行うためには、相当の研修期間を設ける必要があると考える。」
 「採用枠の確保が必要である。待遇の改善(経済的、精神的)と共に職業としての魅力を確保する必要がある。」
 「一般大学として、教職担当教官の定員を確保できていない。予算面で、同上定員の枠を別に保証願いたい。」
 「教科内容に関する専門的指導が必要である。研究する中で探求する。知る喜びを体験し、子どもにそのすばらしさを伝えることのできるような教員を養成する必要がある。」
 「教員があまりにも多忙で余裕がない。教員の定数を増やし、研究や子どもと接する時間をつくる。拘束された研修ではなく、子どもの自主性と同じように教師が自主的に研修する機会を増やし、それを奨励していく。」
 「たとえば教員に海外青年協力隊経験者を積極的に採用することによって、視野の広い人材を確保できるのではないか。」
 「教育全体の改善、大学教育の改善により、教員になる人の人格と識見が何よりも重要であり、あまり技術的なことよりも臨機応変に人間と向き合う事の出来る教員を育てることが必要である。」
 「教員の資質向上のためには、あまりにも過重な負担がかかり過ぎている現在の状況を改善することが急務である。」
 「大学と教育現場との連携の強化。35人学級の実現。教員の研究、教材開発のための時間の保障。自由な研究会活動の保障。」
 「教員の資質向上のためには、教員の研修機会を拡充する必要があるが、学校現場は諸行事が多く、その可能性が現在閉ざされている。課程や地域が学校の教育機能の一部を分担することが必要であり、三者の相互協力と連携を進める方策が求められている。」
 「教科教育関係と教科外教育との両面が統合的に養成するシステム作りが基本的に重要である。」
 「単位数をそろえれば免許が取得できるという現在の体制には行き詰まりがある。特に教員の資質向上という点で、大学の教育の質、学生への授業方法、評価を厳しくするのみならず、学生に生の教育を実感できる教育方法が必要である。」
 「学校現場に於ける教育環境条件の改善を行わなければ教員志望の優秀な人材を教育学部に引きつけ難くなる。教員定数並びに学級あたり児童生徒数を25人ないし30人に早急に改善すべきである。教員自身がゆとりを持って生活し、教育に打ち込める条件整備が急務である。ゆとりのない教員にゆとりある教育の実践を求めることは難しい。」
 「教員としての就職に対する不安が非常に大きい。1学級の生徒数の減少などの措置による教員採用枠の増大が必要であると思われる。また、教員の多忙を緩和し、自己研修の機会を増やすことが有効と考えられる。机上の学問だけでなく、実践・実習を重視し、現場に即した教員を養成する必要がある。」
 「資質向上の研修が、管制研修の強化にならないことが必要であり、あくまでも教員の自発的研修を主にすべきである。そのための条件整備、環境整備をすべきであろう。」
 「実践的指導が出来る教職科目担当専任教官を増やす。教職科目と教科専門科目の教員数を検討する必要がある。」
 「今時の免許法改定により、教職教育科目が強化され、「考える力、教える方法」は充実しましたが、4年間124単位の学士教育の中では「教える内容」に相当する部分にかなりの無理がかかるようになりました。教える中味が充実してよい教育が行われるものと思うので、教育期間の延長も考えて6年制教育を検討する必要があるものと思います。」
 「採用試験制度が筆記試験重視の傾向にあり、人間と関わる仕事に従事する者を選考する試験としては十分ではなく改善する余地がある。」
 「資質向上の理念と現実の大学(教員養成を目的としない一般の大学)の教職課程組織とのギャップが大きい。一般大学での教員養成は無理である。」
 「教員就職者数の急減に伴う教育学部志願者数の減少による質の低下に対する対策がないこと。」
 「急速に変化しつつある社会および科学技術の時代の中で、専門科目については従来の教員養成大学・学部内での教育にとらわれざる、アクティビティーの高い他学部・他領域の教官を自由に動員し、可能な限り、最新の知識を、教員を指向する学生に修得させ得るような自由度が不可欠である。」
 「教育理論が実践化出来て、教育実践が理論化できる教員養成に関わる大学教員並びに教育現場の教員が少ない。
 大学教員と大学院修士課程修了者を中心に学会を組織して(医学界に見られるように医学部教員と勤務医開業医が会員となって)教師教育学を創造する。」
 「教員として適格と思われる者を入学させる。推薦入学のわくを広げ面接や適性検査を行い合格者を決める。教員になりたい者を選抜すべきだと思う。」
 「現状では教科教育が中心となっていて、ゆとりと思いやりのある人格形成が図られていない。個性のない、企画にはまった教員を養成することになってしまう。大学で、教職に関する講義を増やしても「教える技術」の向上に役立つだけではないか。
 教員に適した人格を選ぶ必要がある。また、教員には社会人としての経験も必要で、社会人経験者の枠を広げる必要がある。」
 「不登校やいじめ問題などの児童生徒指導について適切に対処できる教員の資質向上を目指すべきである。」
 「定期的に見直しを行うことはよいことと思われるが、頻繁に免許法の改正が行われると、大学側の提供教科・科目等への対応が困難となる。長期的展望にたった取り組みが必要と思われる。」
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