国立大学協会

トップ >会長

会長挨拶

photo_kaicho_20170614.jpg

会長 山極 壽一(京都大学長)

 国立大学は、法人化以来第3期の中期目標期間を迎え、これまでの改革を踏まえ大きな飛躍が求められています。86の国立大学は、規模、分野など非常に多様ですが、その多くは1949年の国立学校設置法によって、教育の機会均等を実現するために各都道府県に一大学を置くという方針の下に設置されました。全ての国立大学は大学院を持ち、全国の大学院学生の7割近くが学ぶ、日本の研究力の中心でもあります。また、附属病院は、先端医学や地域医療の中核として貢献してきました。こうした国立大学の多様性と先端性を生かしつつ、いかに時代の要請に応えていくのかが問われています。

 

 世界は今、第4次産業革命の時代を迎え、超スマート社会、高度知識基盤社会の構築へ向けて歩み始めています。政府も日本再興戦略、まち・ひと・しごと創生基本方針、未来投資戦略などを矢継ぎ早に打ち出し、イノベーションの創出や地方創生について大学の果たす役割の重要性を強調しています。第1期、2期の中期目標期間において、国立大学は様々な改革に努めてきましたが、毎年運営費交付金が削減される中、教職員数の削減を余儀なくされ、教育研究基盤の劣化が危惧されています。この状況を国会議員や知事・市町村長、経済界など各方面にご理解いただいた結果、第3期には運営費交付金の削減に歯止めをかけることができました。今後さらなる増額を確保し改革を加速していかなければなりません。

 

 それにはまず、国立大学が国から多額の支援を受けている高等教育機関であることを深く認識し、その役割と成果を納税者にきちんと説明していく必要があります。大学にとって最も大切なステークホルダーは学生です。地球の将来を担う世代が多様な能力を発揮し、社会の発展と調和ある共存を達成できるよう、あらゆる努力をするべきです。日本の大学進学率は国際的に決して高くはなく、留学生や社会人学生の数も少ないなど、大学は十分に多様な交流と学びの場となるには至っていません。国立大学は他大学と密接な連携を取りつつ、特に教育の質保証、国際化、産学連携という共通の課題に取り組んでいかねばなりません。

 

 教育面では、高大接続システム改革の中で、中等教育と大学の基礎・教養教育、専門教育、大学院教育を適切につなぐこと、国内外の学生の流動性を高めることなどが重要です。留学生の受入れ拡大のためには、授業の多言語化や留学生宿舎の充実などが不可欠です。地方創生の核となるためには、行政や産業界との連携を強める必要があります。基礎科学力の強化へ向けて、研究費の増加、若手研究者の雇用促進、世界トップレベルの研究拠点の増強を図らねばなりません。そのために、大学の自己資金を充実させるべく寄付や投資を呼び込むことが緊急の課題です。

 

 国立大学協会は、これらの改革を促進するために、このたび「国立大学のガバナンス改革の強化」の提言を行い、「高等教育における国立大学の将来像」の中間まとめを発表し、「本格的な産学官連携による共同研究推進」の検討を開始しています。これらの提言等に基づき、国立大学協会は、高い付加価値を生み出す国立大学を目指して、一層努力していく所存です。皆様のご支援、ご協力をお願い申し上げます。