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シンポジウム「地震・災害とボランティア~今、どうすべきか」を開催【福岡教育大学】

シンポジウムの様子

 初日の6月1日には、シンポジウム「地震・災害とボランティア~今、どうすべきか」を開催しました。
 まず、最初に同大学の寺尾愼一学長より、「今回の震災を受けて、一刻も早く現場に駆けつけ、何らかのお手伝いをしたいという気持ちになるが、そのためにはどうすればいいのか、今、何ができるのか、会場の皆様と一緒に考えていきたい」と、今回のシンポジウムの意義を含めて挨拶がありました。
 第1部として、日本赤十字九州国際看護大学長の喜多悦子氏から、「災害被災者支援とボランティア」というテーマで基調講演が行われました。喜多学長は、医師として多くの海外の紛争地や被災地に出向かれ、難民となった人々の生活回復に力を尽くされている方であり、過去の体験や今回の被災地への訪問の事例を含めながら、被災・災害・人道援助等についてのお話がありました。
 第2部は、生涯教育・ボランティア学が専門の井上豊久・本学教授をコーディネーターに、4名のシンポジストによるシンポジウムを開催しました。
 地震工学が専門の山田伸之・本学准教授から、今回の地震のメカニズム、同氏が震災後に被災地で行った調査活動、その調査によって検証された今回の津波の恐ろしさ、学校における災害時の対応、釜石市での防災教育等について、映像を交えながら報告があり、このような災害に対する日頃からの備えの大切さについて提案がありました。
 別府勇氏(航空自衛隊芦屋基地)は、震災直後の3月22日から、被災地に災害派遣として出向かれ、松島基地の復旧活動や救難活動にご尽力された方で、現地での活動状況、被災地の現状、復興支援の内容、支援物資の運搬等について、映像をもとに報告がありました。被災地を見て大変なショックを受け言葉が出なかったこと、苦難な状況の中でも人々の心の温かさを感じたこと、みんなが協力して助け合っている姿を見て、本来の日本人の姿、誇りを感じたことなど、同氏が活動中に感じた様々な思いについても語っていただき、最後に、過去に震災にあった神戸が見事に復活したように、東北も復活してほしい、それまで自分たちができることを精一杯行いたいとの発言がありました。
 松山稔氏(宗像市総務部生活安全課)からは、行政の立場から、宗像市の防災に対する取り組み、特に、自主防災組織の活動やその重要性について、資料を基に報告があり、地域での繋がりが災害時に需要であるとの提案がありました。
仲西浩一氏(NPO団体代表)からは、同氏が過去に経験した中越地震でのボランティア活動を基に、ボランティアは何かをやりたいという気持ちが大切であり、実際に現地に行かなくても、できることを一つずつやっていくことも大切であるとの提案がありました。
 最後に、コーディネーターの井上教授から、ボランティアの力、地域や家族との連携、地域生活の安定の重要性についての話があり、それぞれの立場、繋がりのなかで、地震、災害、ボランティアについて、考えていただきたいと提案があり、シンポジウムは終了しました。

※写真:左上 寺尾愼一 同大学長 挨拶
   左下 基調講演 喜多悦子氏
   右上 シンポジスト(左から) 山田伸之、