会長
会長挨拶
会長 藤井 輝夫(東京大学長)
国立大学は、わが国の発展を支える「知の拠点」として重要な役割を担っています。これからも常に新たな知を生み続けるとともにその活動を強化し、社会や国民の皆さまと対話しながら、わが国の「知の総和」の向上に国立大学全体として貢献してまいります。
現在、日本は急速な人口減少や産業競争力の低下などさまざまな課題に直面しています。これらを乗り越え、国民一人ひとりのウェルビーイングを達成するために、わが国全体の知のレベルを向上させること、産業のイノベーションにつながる先端研究を推進すること、地域の活性化・地方創生に係わることが求められています。
そこで国立大学協会は、2025年3月に、2040年を見据えた「わが国の将来を担う国立大学の新たな将来像」を公表しました。本将来像では、全国に創り上げてきた「知の拠点」たる85の国立大学全体が「国立大学システム」として、イノベーティブな日本社会の創造に挑戦するために取り組むべき施策を「決意」として示しました。
具体的には、①地方や女性の進学率向上のほか、留学生を定員の3割に拡大して世界から多様な頭脳を導入すること、②世界最先端研究を担い、多様な分野で活躍し得る博士号取得者数を3倍に増加させること、③大学間連携を図りつつ地方創生に主導的役割を果たすこと、④大学病院の研究環境整備や研究者処遇の適正化のほか、教員養成における質の高度化にも取り組むこと、⑤研究者全体の層の拡充や研究環境の高度化を図ること、⑥国公私立大学間の連携による高等教育全体のレベルアップや女性活躍促進、障害のある者等を含む共生社会を実現することなどを目指します。
この「決意」を実現するにあたって、国立大学間や各地のステークホルダーの皆さまとの間で真摯かつ十分な議論を行ってまいります。各大学の特色を生かした上で、「国立大学システム」総体としても期待される役割と有する機能の最大化を果たしていく覚悟です。
最後に、国立大学の存在意義は社会の発展と国民の幸福にあり、教育・研究をはじめとする国立大学の活動の一番の受益者は国と国民全体です。社会や国民の皆さまとのコミュニケーションをより豊かにして国立大学の活動にご理解をいただき、わが国社会の高度化につながる未来への投資として皆さまのご支援とご協力を賜りますようお願い申し上げます。
2025年6月25日