会長

会長挨拶

会長 永田 恭介(筑波大学長)

国立大学協会は、それぞれが特色を有する82法人86国立大学の会員と、密接に連携している大学共同利用機関4機構の特別会員で成り立っており、創設以来、世界最高水準の教育・研究の実施や重要な学問分野の継承・発展、全国的な高等教育の機会均等の確保、グローバル人材の育成といった役割を担ってきました。約6万人の教員は、約58万人の学部生・大学院生の教育を担うとともに、多種多様な研究を展開しています。国立大学が総体として有する多様な学術知は、地球規模の課題解決とともに、高度にレジリエントで持続可能かつインクルーシブな社会を実現するための大きな力となります。そして、すべての都道府県に置かれている国立大学は、イノベーションの創出や優れた人材育成を通じて地域の中核としての役割を担っています。

こうした中で、研究力の底上げについて、政府においては10兆円規模の大学ファンド制度を創設するとともに、「地域中核・特色ある研究大学総合振興パッケージ」が設けられました。この両制度について、国立大学協会としては、令和4年10月に文部科学省に提出した要望において、我が国全体の研究力及び国際競争力の向上・発展の意図を十分に反映した一体的な制度として構築するように求めたところであり、両制度によって研究力及び国際競争力を飛躍的に強化させるものとして認識しています。

昨今、国際情勢の不安定化や、収束の見えない物価高騰など、社会的に不透明で厳しい状況が続き、各国立大学も非常に厳しい経営状況にあるものの、国立大学は国を支える人材を輩出する日本の中核であるという自負を持って、これから先の我が国の成長と未来をけん引する大学であることが必要であると考えています。

教育未来創造会議の第二次提言でも謳われている国際競争力の向上とグローバル人材の必要性を認識し、今後令和10年度からの第5期に向けて、少子化で人口構成が変わる中においても、年齢・性別・国籍・地域などの多様性豊かな高度人材・グローバル人材の育成を進めるべく自ら改革し、国立大学ならではの覚悟を決めた骨太な将来像を提案していきたいと考えています。

国立大学協会として、関係各所と議論をしながら日本の高等教育の質を高め、リカレントやリスキリングを含め、より能力のある人材を輩出していきたいと思っています。皆様方のご期待に沿える大学を目指し、積極的な情報発信や自律的な取り組みを行うなど、一層努力してまいります。

引き続き、ご支援を賜りますよう、お願いいたします。