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津波による冠水被害を受けた農地を視察(東北大学農学研究科)【東北大学】

政宗の命によって築造された貞山堀と津波で損壊した排水機場

3月11日の大震災では、津波の被害が甚大でした。東北大学農学研究科の教員3名は、震災後の仙台市東部沿岸の水田地帯を視察しました。
津波に襲われた水田は、押しつぶされた自動車、家屋・家財の断片、樹木などが無数に散在しており、かつての美田地帯が無残な姿に変貌していました。この地帯だけで約2,000haの農地(大部分は水田)が冠水被害を受けました。仙台湾に沿って「貞山堀」と呼ばれる運河が南北に走っています(写真 上)。
仙台藩祖伊達政宗公が命じて築造されたもので、北は北上川、南は阿武隈側に連なり、幹線は約60kmにも及ぶわが国最長の運河です。当初の用途は御城米を江戸に運ぶためでしたが、現在では水田の排水幹線路として重要な機能を果たしています。今回の津波により一部崩壊したものの、主要部分は崩壊を免れて、津波が残した滞水の排水に活躍しています。400年前に築造された運河が未曾有の災害からの復興に役立っており、先人の英知と汗の結晶に感謝の念が沸きます。
東北大学は、このような貴重な遺産を継承しつつ、甚大な被害を受けた農地・農村の早期の復興を目指し、できる限りの支援活動を行う決意でるとのことです。

※写真:上 政宗の命によって築造された貞山堀
    下 津波で損壊した排水機場