
文部科学省「未来を先導する世界トップレベル大学院教育拠点創出事業(FLAGs)」
令和7年度採択:事業名
日本版Industrial PhDによる未来共創リーダー育成拠点
私たちの取り組み
今、日本の高等教育は新たな転換点にあります。明治維新期に西洋の学問制度を導入し、戦後には民主化と教養教育を拡充したように、私たちは社会の構造変化に応える「第三の大学改革」を求められています。これまでの、手本を改善する「キャッチアップ型」から、世にないものを生み出す「イノベーション型」国家へ進むためには、高等教育の観点では博士人材の活躍の場を社会全体に広げ、研究成果の社会的循環を促進することが不可欠です。
多様な博士が、多様な分野・地域で活躍する社会へ
本学は、本事業代表校として日本版Industrial PhDという新しい博士教育モデルを提案しました。学生の学位テーマを起点に、学生、組織(企業等)、大学教員が対等に対話し、現場の課題と結びつけながら、解決を目指す学位研究として推進するものです。博士人材が、大企業だけでなく中小企業やスタートアップ、自治体、さらには人文・社会・芸術等多様な分野で力を発揮できる環境を整え、日本社会全体の再始動(Reboot)を目指します。この挑戦は、単なる人材育成にとどまるものではなく、博士課程教育を社会実装の現場に開き、大学・産業界・自治体が互いの強みを活かして対等に協働する新しい知の生態系を築く国家的プロジェクトであり、全国14大学とともにモデル事例を積み上げ、国の制度化を見据えた実証を進めています。
「三方よし」で支える三者への手厚い支援
Industrial PhDは、欧州で50年以上続く制度であり、現在はEU全域に広がっています。学生が産業界の課題を研究テーマに設定し、企業に雇用されて給与を得ながら、企業と大学の双方で指導を受けつつ博士号を取得する制度です。この制度の大きな特徴は、学生・企業・大学の三者に対して、国が実効性の高い公的支援を組み合わせている点にあります。具体的には、学生は企業から給与を得て安定した環境で研究に専念し、企業は学生人件費の一部(最大で約2分の1)の補助を受けることができます。さらに、企業および大学には研究費が支給される仕組みが確立されています。
本事業では、この欧州型スキームを我々独自の「日本版Industrial PhD」として再構築し、学生には600万円程度の給与、組織には学生人件費の半額相当の支援、さらに組織および大学教員の双方に200万円程度の研究費を措置する、従来にない踏み込んだ支援モデルを試行します。学生、組織、大学教員の三者に手厚い支援が行き渡る本構造により、博士人材の活躍の場が多種多様な組織で拡大、深耕し、それぞれの場で質の高い研究成果と社会的イノベーションが力強く創造されることを目指していきます。