
会長 藤井 輝夫(東京大学長)
国立大学は、わが国の発展を支える「知の拠点」として重要な役割を担っています。これからも常に新たな知を生み続けるとともにその活動を強化し、社会や国民の皆さまと対話しながら、わが国の「知の総和」の向上に国立大学全体として貢献してまいります。
国立大学協会が2025年3月に公表した「わが国の将来を担う国立大学の新たな将来像」は、日本が長年培ってきた「知の拠点」である85の国立大学全体が「国立大学システム」として連携し、イノベーティブな日本社会の創造に挑戦していくための施策を「決意」として示したものです。私が会長に就任してから、この将来像を具現化するために「将来像実現のための国立大学システム検討ワーキンググループ」を設置しました。この中で、「人材育成」「教育連携」「地方創生」といったテーマごとにタスクフォースを置き、それぞれの課題や役割を整理しながら、推進策や既存制度の改善案の検討を進めています。
国立大学が、その役割を果たすための基盤的経費である国立大学法人運営費交付金は、法人化以降、削減状況が続いていましたが、皆さまの多大なる応援もあって、令和8年度当初予算において、対前年度188億円増となる1兆971億円が措置されました。これほど大幅な増額は法人化以来初めてのことであり、極めて画期的といえます。また、令和7年度補正予算においても、人件費への活用も可能な運営費交付金421億円をはじめとして、設備整備や附属病院への支援など、多くの国立大学向け予算が計上されました。これらはいずれも、国立大学への強い期待の表れであると受け止めています。
一方、国立大学が期待される役割を十分に果たしていくために必要な、研究設備・機器の老朽化対策や教育研究環境の維持向上等に向けた予算の確保については、まだまだ道半ばです。運営費交付金は、国立大学の教育研究活動を支える基盤であり、そのあり方については、社会全体で議論を深める必要があると考えています。その議論を広げるためにも、国立大学の現状や取組を積極的に発信してまいります。
最後に、国立大学の存在意義は、ひとえに社会の発展と国民の幸福にあり、教育研究をはじめとする国立大学の活動の一番の受益者は国と国民全体です。国立大学協会としても、社会や国民の皆さまとのコミュニケーションをより豊かにして国立大学の活動をご理解いただくべく努力してまいります。わが国社会の高度化につながる未来への投資として、皆さまのご支援とご協力を賜りますようお願い申し上げます。
2026年4月1日