会長

会長挨拶

会長 永田 恭介(筑波大学長)

 現在、世界は未曽有の地球規模の課題、すなわち新型コロナウイルス感染症の猛威に晒されています。さらに、コロナ禍はそれ自体が課題であるだけではなく、まさに拡大鏡として様々な課題を浮き彫りにしました。グローバル化した世界では、人口と食料・水の問題、経済競争と経済格差の問題、エネルギーと環境汚染に関する問題などの難問が複合的な原因によって生まれ、さらなる多様な問題を生み出しています。さらに、我が国は課題先進国として、少子・高齢化と地域衰退という大きな課題を抱えています。

 

 国立大学は、それぞれが特色を有する86大学で成り立っています。約6万人の教員は、約59万人の学部生・大学院生の教育を担うとともに、多種多様な研究を展開しています。こうした多様性は、現在の単純な延長線上に未来を描くことができないVUCA(Volatility、Uncertainty、Complexity、Ambiguity)の時代において、あらゆる壁を越えた共創を推進し、しなやかでインクルーシブな社会を実現するための大きな力となります。

 

 全ての都道府県に置かれている国立大学は、イノベーションの創出や優れた人材育成を通じて各地方(地域)の活性化の中核を担ってきました。国立大学は、各地方(地域)の文化・社会・経済を支える拠点であり、地方(地域)の産業、医療、福祉、教育などに責務を負っていることを自覚しています。人口減少や産業の知識集約型へのパラダイムシフトを背景に地方創生が我が国の重要な課題となる中、近年一層高まる国立大学に対する期待に応えるべきだと考えています。

 

 令和3年度は、第3期中期目標期間を総括する一年であるとともに第4期に備える一年となります。新たな課題に向き合うことと同様に、これまで解決できていなかった課題に道筋をつけることも重要です。このため、国から国立大学法人に期待され負託される役割や機能とは何か、それを果たすために必要となる資源とそれを確実に整えるための方策を明確にし、全ての関係者が認識を共有することには大きな意義があります。

 

 そのうえで、各国立大学は特性や強みを一層発揮することで、学生や教職員はもちろんのこと、国や地域社会、企業などの多様なステークホルダーとともに前進してまいります。国立大学協会は、こうした個々の自律的な取り組みを社会に向けて積極的に情報発信することで、国立大学を取り巻く全ての関係者のみなさまから支持を得られるよう努力してまいります。

 

 ニューノーマル時代における大学は、激変する社会に単に適応して形作られるものではなく、大学自身が将来の社会のありようを見通し、望ましい未来を構想・提案するとともに社会実装までも関わることにより、自ら定義すべきであると考えています。国立大学は、その有するあらゆる知を基盤に全力で取り組んでまいりますので、関係各位には、国立大学及び国立大学協会に対し引き続きご支援を賜りますよう、よろしくお願いいたします。