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国大協「第17回大学改革シンポジウム『高等教育の将来構想』」を開催(10/19)

お知らせ

 国立大学協会は、10月19日(金)、学術総合センター一橋講堂において、第17回大学改革シンポジウム『高等教育の将来構想』を開催しました。

 本シンポジウムは、様々な議論が交わされている「高等教育の将来構想」をテーマに講演及びパネルディスカッションを行うものであり、活発な議論の場としていくことを目的に実施しました。今後の我が国において、社会全体の構造変化を見据え、目指すべき高等教育の在り方やそれを実現するための改革の方向性など、これからの時代の高等教育の将来構想について、国公私立の大学団体をはじめ政府において検討整理が行われているなか、大学関係者をはじめ高校関係者、受験産業関係者、マスコミなど、270名が参加しました。

 今回の企画にあたっては、日本私立大学連盟から田中優子常務理事(法政大学総長)、公立大学協会から鬼頭宏副会長(静岡県立大学学長)、国立大学協会から永田恭介副会長(筑波大学学長)に講師及びパネルディスカッションにおけるパネリストとして参加いただきまたした。また、総合司会を東京大学農学部4年生の髙砂美里さんにお願いしたほか、コーディネーターとして西川龍一氏(NHK解説委員)、コメンテーターとして報道関係者から横山晋一郎氏(日本経済新聞社)、産業界から広浜泰久氏(中小企業家同友会全国協議会会長・株式会社ヒロハマ代表取締役会長)、高校関係者から村田純子氏(大阪府立高等学校長協会会長・大阪府立寝屋川高等学校校長)をお迎えしました。

 はじめに、本協会の山本健慈専務理事から開会挨拶があり、「設置主体を超えての対話と協同が必要だと長く思っており、今回のシンポジウムのような機会は今後、様々なレベルで行われていくと思われる。こうした対話のなかで、相互の歴史と諸活動へのリスペクトと信頼が深まり、高等教育総体の発展へのスタートとなることを願っている。」と語りました。

 続いて田中氏による講演があり、大学教育のあるべき姿や大学全体の規模・配置を慎重に考える必要があること、国立・私立の授業料格差が学生間の不平等を生じさせていることに触れつつ、将来構想の実現に向けた私立大学自らの姿勢、国・政府に対する提言及び産業界における大学への正しい理解と協力を訴えました。

 鬼頭氏の講演では、今の時代は新しい文明への転換期にあり、変化を成し遂げて新しい時代をつくっていくことができる若い人材をどのように育てるかにかかっていること、それは国公私立や国、地方によって役割分担はあっても共通の課題であること、その上で公立大学としての使命や課題について説明がありました。

 永田副会長の講演では、18歳人口の減少が招く影響、財政・家計所得の状況を説明後、国立大学が今後特に果たすべき役割・機能を明示し、将来像を実現するための改革の方向性として、ガバナンス改革、人事給与改革、産学官連携による共同研究推進の3つの取り組みを紹介しました。

 3名による講演後、コーディネーター西川氏(NHK)の進行により、横山氏(日本経済新聞社)、広浜氏(中小企業家同友会全国協議会)、村田氏(大阪府立高等学校長協会)の3名のコメンテーターを交え、パネルディスカッションが行われました。そこでは各団体それぞれのミッションを足掛かりに議論が進められ、国公私立は共通の課題を持っており、今後も対話を積み重ねていく必要があることが示されました。

 また、会場からは、「グランドデザインが国を含め、国公私立の各団体から出され、論点が明確にされたことは良いと思う。2040年に向けたアプローチ方法は多々あると思うが、その中で外資が高等教育に参入する、あるいは日本の大学が海外へ進出することはあるのか。」「大学院における私立大学の役割はどこにあるのか。」「入試改革、高大接続は保護者の立場からすると切実な問題であり、どこまで新しい入試に対応するのか。」などの発言がありました。

 最後に、総合司会の髙砂さんが、「今の学生には、自分が学びたいことよりも、就職、家庭の経済状況など優先度の高い事項が多い。自分のペースで勉強していく、自分に興味のあることを勉強できる環境があれば良いと思う。また、現状の大学の自由度(の低さ)を経験した身としては、卒業後、再度大学に戻って本当に学びたいことを勉強できるのか疑問。本題からは少しずれるが、留学生に対し、英語の読み書きや聞くことはできても、自分の意志を伝えるための話す能力が乏しく、英語教育の重要性も感じている。」との感想を述べ閉会いたしました。

 

【講演】
○「未来を先導する私立大学の将来像」
 田中 優子 氏(日本私立大学連盟常務理事・法政大学総長)
○「公立大学が向かう未来
 『時代をLEADする公立大学
 -公立大学の将来構想に向けての議論の方向性と可能性-』(2017)をもとに」
 鬼頭 宏 氏(公立大学協会副会長・静岡県立大学学長)
○「国立大学の将来に向けて」
 永田 恭介(国立大学協会副会長・筑波大学学長)

【パネルディスカッション】
○コーディネーター
 西川 龍一 氏(NHK解説委員)    
○パネリスト
 田中 優子 氏(日本私立大学連盟常務理事・法政大学総長)
 鬼頭 宏 氏(公立大学協会副会長・静岡県立大学学長)
 永田 恭介(国立大学協会副会長・筑波大学学長)
○コメンテーター
 横山 晋一郎 氏(日本経済新聞社編集局長付編集委員)
 広浜 泰久 氏(中小企業家同友会全国協議会会長・
        株式会社ヒロハマ代表取締役会長)
 村田 純子 氏(大阪府立公立高校校長会会長・大阪府立寝屋川高等学校校長)
     
【総合司会】
 髙砂 美里(東京大学農学部4年)
 


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総合司会の髙砂美里さん(東京大学農学部) 開会挨拶をする山本 国立大学協会専務理事
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田中優子 氏
(日本私立大学連盟常務理事・法政大学総長)
鬼頭宏 氏(公立大学協会副会長・静岡県立大学学長)
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永田恭介(国立大学協会副会長・筑波大学学長) 西川龍一 氏(NHK解説委員)
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横山晋一郎 氏(日本経済新聞社編集局長付編集委員) 広浜泰久 氏
(中小企業家同友会全国協議会会長・
株式会社ヒロハマ代表取締役会長)
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村田純子 氏
(大阪府立公立高校校長会会長・
大阪府立寝屋川高等学校校長)
パネルディスカッションの様子
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パネルディスカッションの様子 パネルディスカッションの様子
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会場の様子 会場の様子
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会場の様子 質疑・応答の様子