62号 Challenge!国立大学 特集【DX:デジタルトランスフォーメーション】

東海国立大学機構 滋賀大学 香川大学 九州大学 東北大学 東京学芸大学

東海国立大学機構

100万人デジタルユニバーシティ構想で地域まるごとDXを目指す

地域のあらゆるステークホルダーに知のプラットフォームを提供

2020年4月、岐阜大学と名古屋大学は国立大学初となる運営法人統合を果たし東海国立大学機構を設立した。そのスタートアップビジョンとして、地域全体の社会構造転換を大学連合が先導していくことを謳う「TOKAI-PRACTISS」※を策定。これをデジタル技術の活用により実現していく「デジタルユニバーシティ構想」を打ち出した。
「本構想はDXを単なる業務効率化のツールではなく、『サイバー空間における大学機能の拡大』の手段と位置づけています。学生、研究者、教職員、さらに産業界や一般市民まで含む100万人を超えるステークホルダーに機構の知と人的ネットワークを提供する『地域まるごとDX』に取り組んでいきます」と構想推進の拠点であるデジタルユニバーシティ室の室長を務める名古屋大学副総長の武田一哉教授は語る。
構想の全体像は、学術成果や研究データなど多様なコンテンツを共有するための「データ基盤」と、あらゆるステークホルダーに機構の知とネットワークを活用してもらうための「次世代認証基盤」という二つの重要技術をベースに、教育、研究、産学連携、健康医療などの幅広い領域のDXで構成される。
「本機構では統合を機にリモート会議やウェビナーといったデジタル活用を積極的に進めてきた経験値を生かしつつ、遥かに深く高度なレベルの『デジタルによる大学変革』を目指しています。今までにない大学像を実現し、革新的な価値の創造・提供に繋げていくことが目標です」とデジタルユニバーシティ室副室長で岐阜大学副学長の王志剛教授は強調する。

※TOKAI-PRACTISS(東海地域の大学・産業界・地域発展の好循環モデル)

東海機構100万人デジタルユニバーシティ構想

三つの取組を柱に包括的な DX を推進していく

構想の柱となる取組は三つある。一つは教育研究資源をデジタルコンテンツ化していくことだ。
「この取組ではデジタル化によりコンテンツを誰もが使いやすい形に変えていくことがポイントです。例えば、我々が持つ膨大な研究データを様々な言語に翻訳すれば、より多くの人が簡単に探し出して活用できるようになる。
また、教育資料を利用する人が目的に応じて加工する『n次創作』を可能にすれば、資料の価値はより高まります。そのための技術や、遠隔で身体性や経験を伴う学びを実現するVR利用教育技術の開発など、先進的な取組を進めています」と武田教授は説明する。
二つ目は、知と人的ネットワークを学内外で共有する仕組みの構築だ。様々な教育コンテンツを地域に提供するプラットフォームづくりのほか、データサイエンティスト育成のための産学連携教育プログラムなどが進められている。大学院生と社会人学生が共同で産業界の実践的課題に取り組むことで、多様な知が補完し高め合う連携の相乗効果を実感できるプログラムとして好評だ。また、大学発ベンチャーの学生・技術を活用して地域DXへの貢献やDX人材の育成を図る、新しいエコシステムづくりにも注力している。
そして三つ目の柱は、デジタル技術を活用した大学の機能の高度化だ。
「現在、財務や人事給与など個別システムごとの統合が進められていますが、最終的にはそれらを統合運用できるまでに進化させたい。世の中の解決すべき課題に対して、機構と地域のリソースをAIで瞬時に組み合わせ、最適なチームや環境を作り出せるようにするのが理想です」と王教授は展望を語る。

両大学+学外の知を集め着実に構想の実現を目指す

「デジタルユニバーシティ室では毎週、両大学の情報担当の教職員と外部のICTの専門家が集まり中身の濃い議論を繰り広げています。取り組むべき内容は多岐にわたりますから、学内外の幅広い知識と視点をどんどん生かしていきたい」と武田教授は言う。加えて王教授は、構想推進のアプローチとして、現状・現場の問題をしっかりと把握したうえでDXを進めていくことの大切さを強調する。
「教育、研究、事務の現状を一番分かっているのは現場です。この現場の感覚をいかにデジタルのシステムに落とし込んでいくか。大きな目標を掲げつつ、足もとを見つめて着実に構想を進展させていきたいと思います」
機構では本構想の第一段階の区切りをおおよそ3年後に想定している。地域まるごとDXを掲げる挑戦的なプランがどのように具現化されていくのか。これからの取組に注目したい。

武田 一哉(たけだ かずや)
デジタルユニバーシティ室長
(東海国立大学機構機構長補佐/
名古屋大学副総長)

王 志剛(わん ずがん)
デジタルユニバーシティ室副室長
(東海国立大学機構機構長補佐/
岐阜大学副学長)


滋賀大学

データサイエンス活用人材の育成をオンラインで全国展開

大学発の学習サービスを社会人中心に約 6 万人が受講

ビッグデータから価値を引き出すデータサイエンス。Society5.0時代に必須となるその活用スキルを持つ人材を組織的に育成するべく、滋賀大学は2017年4月に日本初のデータサイエンス学部を新設した。その教育・研究活動の成果を学内ばかりでなく広く社会に波及させるため、2017年よりオンライン学習サービスMOOC(Massive Open Online Courses)を利用したデータサイエンス教育「DS-MOOC講座」を全国展開している。
当初は高校生がAO入試(現・総合型選抜)で利用できる教材の提供を目的に「高校生のためのデータサイエンス入門」をリリース。それに続き、 統計学の基礎が学べる「大学生のためのデータサイエンス(Ⅰ)」、ビジネスにつながる機械学習をテーマにした「大学生のためのデータサイエンス(Ⅱ)」、さらに実践的なノウハウを指南する「大学生のためのデータサイエンス(Ⅲ)問題解決編」と、毎年1講座を新たにリリースしてきた。
1回の講義は5~6分間の動画配信により行われる。佐藤健一教授は「忙しい人にもスキマ時間で見ていただけるように、短時間の動画で週5~6コマの構成としました。また、一般の人も理解しやすいように、なるべく数式を減らしシンプルな言葉で説明することも心掛けています」と説明する。
反響は大きく、現在までシリーズ累計で約6万人が受講。想定外だったのは、「大学生のための」と銘打っているが、受講者の大半が社会人だったことである。「これからはデータサイエンスの能力が必要と考えるビジネスマンは多く、また短時間のコンテンツは通勤中や帰宅後にも気軽に見ることができるので、自身のスキルアップのために活用する人が多いのではないでしょうか」(佐藤教授)


講座の説明をする竹村彰通データサイエンス学部長

ユーザーは個人だけでなく 他大学、企業、行政も活用

「DS-MOOC講座」の利用者は個人ばかりではない。現在、国立大学4校が授業に採り入れている。「今後、政府が推進する『AI戦略2021』に基づき大半の大学がAIに関する授業を行っていく中、学ぶ側の学生だけでなく、教える側の先生を育てるためにもこの教材がますます活用されることが考えられます」と佐藤教授は語る。
また、企業においても人事、営業、製造、品質管理といった部署がそれぞれ多様なデータを蓄積しており、どのように活用するかを模索している。そこで、滋賀大学は企業に対し「DS-MOOC講座」を利用したセミナーを開催。中には、部署単位あるいは会社全体で本教材を導入し、社員各自が学習することでデータサイエンス活用人材の育成を行うケースもあるという。
さらに、大阪府が緊急雇用対策の一環として、求職者向けにデータサイエンスの知識とスキルを養成するツールとして活用。「大阪府が開催するオンライン講座には、名だたるIT企業の名前が並んでいますが、その中でも本学の教材が特に活用されていると聞きます。予想を超えるほど広い領域へ波及して驚きました」(佐藤教授)

今後は様々な業種に合わせて カスタマイズした教材を提供

「DS-MOOC講座」の次のフェーズとしては、業種ごとにカスタマイズした講義内容が求められている。「『大学生のためのデータサイエンス(Ⅲ)問題解決編』はマーケティングの手法が主体でしたが、例えば製造業なら『不良品の検出に関するデータ分析の手法が知りたい』といった、その業種ならではのニーズがあります。次回作はそうした特定の業種にフォーカスを当て、もう少し実践面に踏み込んだ内容を検討しています」と佐藤教授。
企業との連携が広がるにつれ、担当教員の人数も増えている状況だという。企業からの依頼は今後さらに増えていくことが予想されるため、それに対応するために人員が必要となり、しばらく拡大傾向が続いていく見込みである。Society 5.0時代にふさわしいデータに基づく意思決定の重要性を認識する人材を、全国規模で育成することに注力する滋賀大学。我が国におけるDX人材育成、DX推進の一端を着実に担っていくことだろう。

DXに関連する取組も多く記載されている冊子 Data Science View

滋賀大学データサイエンス学部が提供するeラーニング教材

   佐藤 健一(さとう けんいち) 滋賀大学 データサイエンス学部教授


香川大学

学生中心のDX推進チームが学内の課題解決を実践

学生と教職員の協働により業務改善システムを開発

香川大学では、2021年7月に DX推進戦略「デジタルONE戦略」を策定。その一環として、学生を中心とするDX推進チーム「DXラボ」を組織し、学生・教員・職員の協働により学内の業務を改善する業務システムの内製開発等を行っている。
同大学情報メディアセンターの八重樫理人センター長は「未体験の価値を生み出せる次世代型の工学系人材の育成が求められています。次世代型工学系人材が持つべきはデザイン思考能力。利用者に寄り添い、コンセプトを立て、プロトタイプを作るなど、デザイン思考能力は、DX推進にも必要なスキルです」と話す。DXラボの活動は、まさにデザイン思考の実践である。「学内の課題を解決する業務システムを、プロトタイプで効果検証を行った上で実装する作業はデザイン思考によるシステム開発の実践にあたります。学生ならではの目線をシステムに反映することもできます」(八重樫センター長)

   業務UX調査

システムの内製化はマインドセット効果も

現在、DXラボには工学研究科の大学院生3名、創造工学部の学生2名が所属。工学研究科信頼性情報システム工学専攻2年の西村和馬氏もメンバーの一人で、「通勤届申請システム」を開発した。従来の通勤届は、職員が紙の申請用紙に必要事項を記載し、学内便で担当者に申請。担当者は申請用紙をもとに支給額を手動で計算している。新システムは、WEBから入手した情報をもとに自宅住所から勤務地までの通勤経路を自動計算。すでに実運用に向けた最終段階に入っている。
DXラボでは年間50件の開発を目標に、本年9月までの半年足らずで約25件のシステム開発に着手した。「この取組で一番大事なのはDXを進める教職員のマインドを変えること。業務システムの内製化で少しだけかもしれないけれど業務が楽になったという成功体験が、 難しく考えがちな『DX化』のハードルを下げます。実際にそうした空気感が学内に漂い始めています」と八重樫センター長は説明する。

   業務システム開発ハンズオン

地域社会、そして全国へと拡げていくDX 化のノウハウ

DXラボでは、システム開発のほかにも多彩な活動を展開している。業務改善のアイデア創出を目指す「業務改善アイデアソン」。ユーザーの視点から業務における課題を調査する「業務UX調査」。さらに、同大学の教職員自身が業務アプリ開発のスキル獲得を目指す「業務システム開発ハンズオン」を開催し、過去3回で約180名が参加した。
DXラボの活動に対する学生メンバーの評価は高い。西村氏は「実際に利用する人々の反応を窺いながらのシステム開発は、将来の仕事につながるはずです」と語る。「学生では知りえない業務の実情に触れたことは、将来の糧になると感じます」と話すのは「教員向け出退勤記録システム」等の開発に携わった石川颯馬氏。「外部研究資金公募情報共有システム」等を開発した椎木卓巳氏も「相手がどのようなシステムを求めているかを詰めていくプロセスは、お客様の要件をまとめる際に活かせそうです」と、全員が実践的な開発体験のメリットを挙げる。
今後の展望について八重樫センター長は、「大学と同様の悩みを持つ中小企業は多く、香川大学のノウハウを展開してほしいというご要望も頂いています。また、DXに関するリスキリング教育やリカレント教育の拠点としても、地域に貢献できるのではないかと考えています」と語る。
さらに、他大学に対しても蓄積したノウハウをオープンにする意向を示す。「いろいろな大学から問い合わせを頂いています。大学間でDX化推進の取り組みやノウハウを共有していくことが日本全体のDX化推進には大事だと思います」と八重樫センター長。香川大学の積極的な取組は、そうした機運を醸成するDX推進モデルと言える。


   (左から2番目)
   八重樫 理人(やえがし りひと)香川大学 情報メディアセンター長

   (手前左から)
   椎木 卓巳(しいき たくみ)香川大学 情報メディアセンターDX 化推進部門事務補佐員
   西村 和馬(にしむら かずま)香川大学 情報メディアセンターDX 化推進部門事務補佐員
   石川 颯馬(いしかわ そうま)香川大学 情報メディアセンターDX 化推進部門事務補佐員


九州大学

ラーニングアナリティクスによる学習者本位の教育の実現へ

教育データ、学習支援窓口のワンストップ化を推進

九州大学では、教育DXを全学で推進する体制を充実させるため、2021年度に「ラーニングアナリティクスセンター」を全学組織として新設。
ラーニングアナリティクスとは、教育現場からデータを集め、教育や学習活動のもととなる情報を分析し、課題解決の一手を現場にフィードバックする活動。現在、同大学では、「学習者本位の教育の実現」を目的に、「教育データのワンストップ化」と「学習支援窓口のワンストップ化」を行っている。
教育データのワンストップ化とは、学習管理、学務情報、シラバス等複数のシステムを連携させることで教育データを一元管理し、教育改善の提案、AIを活用した個人適応型学習支援、学習成果の可視化や確認・分析等を目指すもの。「もともとラーニングアナリティクスの様々な研究を行う中で膨大な知見が集まっており、データを一元的に管理できる仕掛けが必要という着想に至りました。全システムのデータを一つのデータベースに集約し、その先でラーニングアナリティクスを行う環境を整備していきます」と島田敬士教授は説明する。
もう一つの取組である学習支援窓口のワンストップ化については、学生主体の組織と連携して進めている。蓄積したデータに基づいてAIが質問に自動応答する「AIチャットボット」を構築、運用し、いつでも相談できるようにすることで学生の利便性向上と、教職員の業務負担軽減を図っている。
山田政寛准教授は「九州大学のこうした取組の強みは、研究主導であること。研究業績は豊富で、この2年間で論文を国際会議に100以上は発表していますし、学生が開発したツールが学術大会でベストアワードに選出されるなど着実に実績を積んできました。研究に基づく確かなエビデンスを保有し、実践へ展開するなど、研究と実践が循環しているのも強いところです」と話す。

   ラーニングアナリティクス

リモート授業においてもクラスの連帯感を創出

ラーニングアナリティクスによる教育現場へのフィードバック方法は様々。例えば、現場の学習状況を可視化できる「リアルタイム学習ダッシュボード」は、各学生がいま教材のどこに着目し、メモやマーキングを行っているかを画面で見ることができる。教員は自分の説明と学生の着目箇所が合致しているかどうかを確認でき、学生はクラスメイトが注目しているポイントを知ることで、見落としがないか、重要箇所はどこかを把握できるといったメリットがある。
もともと教室で授業を行う教員のために開発されたシステムだが、コロナ禍において、自宅から遠隔授業に参加している学生にもこのシステムを展開した。自分とクラス全体の学習状況を比較でき、『みんなが見ている箇所を勉強しよう』という意識が芽生え、安心感につながったという学生たちの声がかなり届いているとのこと。

今後はデータ駆動イノベーション推進本部を核に学内で生まれた成果を広く社会へ

ラーニングアナリティクスセンターの谷口倫一郎センター長は、「これらのツールをうまく使いこなせるかどうかが、九州大学にとっては非常に重要な分かれ目になると思っています。それを実現する環境を大学が作っていきたいと考えています」と話す。
教育データと学習支援窓口のワンストップ化は、2021年度中の達成を目標にしている。次のステップは全学における組織レベルでの実践で、さらにその先にはラーニングアナリティクスの「九大モデル」を学外に展開するという目標がある。
「今後はデータ駆動イノベーション推進本部を立ち上げ、そこが核となり大学全体として教育、研究、医療のDXを進めていきます。デジタル技術を使って社会の在り方を研究するために、同本部には研究機能も持たせる予定です」(谷口センター長)
今後、九大モデルの多様な仕組みが次々と世の中に送り出されていくことが期待される。


(左から)
谷口 倫一郎(たにぐち りんいちろう)九州大学理事・副学長
ラーニングアナリティクスセンター長
島田 敬士(しまだ あつし)九州大学システム情報科学研究院 教授
山田 政寛(やまだ まさのり)九州大学基幹教育院 准教授


東北大学

デジタルを活用した大学経営の高度化

東北大学では、2020年6月に「オンライン事務化」を宣言。その実現のために同年7月には全国初となる学内公募による「業務のDX推進プロジェクト・チーム」を結成した。全学から総勢56 名の若手職員が結集し、New Normal時代における新たな大学像を創り上げている。
同大学ではコロナ以前からDXを目指し、「G Suitefor Education」※等のクラウド基盤に加え、東日本大震災における危機対応の経験も踏まえて仮想デスクトップを導入し、全職員が100%リモートワークを行える環境を整えていた。さらにコロナ禍の影響で、「Zoom」※、「Microsoft 365」※、「サイボウズGar oon」※等、マルチベンダーによる情報基盤の整備を一層加速し、業務DXのみならず教育・研究等大学全体の重要な情報基盤を構築した。
「業務のDX推進プロジェクト・チーム」は、それらの情報基盤を最大限に活用してデジタル化を強力に推進するとともに、従来「あたりまえ」とされていた業務を徹底的に見直すというビジネス・トランスフォーメーションを実践する機運を大学全体に波及させている。
業務のDX推進により蓄積されたデータは「Tableau」※により可視化することで経営戦略データベースとして活用し、大学経営の高度化につなげている。

   デジタルを活用した大学経営の高度化

   プロジェクト・チームミーティングの様子

※ G Suite、Google Meet は、Google LLCの商標または登録商標です。
※ Zoom は、Zoom Video Communication, Inc. の商標または登録商標です。
※ Webex Meetings は、Cisco Systems, Inc. の商標または登録商標です。
※ Microsoft 365(office 365)、Microsoft Onedrive、Microsoft Teams、Microsoft Azure は、 Microsoft Corporation の商標または登録商標です。
※ サイボウズGaroon は、サイボウズ株式会社の商標または登録商標です。
※ Tableau は、Tableau Software Inc. の商標または登録商標です。


東京学芸大学

未来の学校プロジェクト 学校と企業の協働による"SUGOI 部屋”協創と活用の取り組み

東京学芸大学教育インキュベーションセンターでは、大学と附属校の教員、企業、教育委員会がワンチームとなり、Society5.0に向けた学校システムづくりに取り組む「未来の学校みんなで創ろう。プロジェクト」を、東京学芸大学竹早地区の附属幼稚園・小
学校・中学校、岩手県山田町、岡山県津山市、宮崎県延岡市等で進めている。学校環境のオープン化と企業との協働によって構想がすぐに実践できることが本プロジェクトの新規性であり、強みと言える。
「学校像」の抜本的な改革を目指す数々の挑戦的プロジェクトの取組の1つが“SUGOI 部屋” の開発である。それぞれ、学習環境・空間づくり、最先端テクノロジー、通信環境等に強みを持つ内田洋行、ソニー、NTT東日本との協創で、10年先の教室環境の先行研究と公教育において実装、普及可能な環境の開発を目指す。
“SUGOI部屋” 一番の特長は、壁を埋めつくす巨大スクリーン。圧倒的な情報量を活かしたオンライン授業では、農家との交流を通してフードロス問題に迫り、人権が脅かされている子どもたちが通うタイの学校との交流では経済問題に迫った。また、GIGAスクール端末を活用し、子どもたちの考えを画面いっぱいに表示して共有することも可能。最先端の環境を使いながら、投影装置や音響設備、使用するソフト等の使い勝手を企業にフィードバックし、随時アップデートすることで、最先端かつ使いやすい環境の構築と授業提案が続けられている。
教育分野の産官学連携における大学の役割や研究活動の社会実装のあり方に関する新たなモデルとなることを目指し、今後も本プロジェクトを推進していく。

   フードロス問題に取り組む農家とのオンライン交流

   GIGAスクール端末と情報共有ソフトを活用した授業