一般社団法人四国地域大学ネットワーク機構

「広域分散協働」が拓く新たな大学連携
-四国5国立大学の挑戦

一般社団法人四国地域大学ネットワーク機構

徳島大学・鳴門教育大学・香川大学・愛媛大学・高知大学

連携の概要

四国5国立大学は2021年3月に「一般社団法人四国地域大学ネットワーク機構」を設立し、2022年3月には広域ブロック全域では全国初となる「大学等連携推進法人」の認定を受けた。人口減少社会を見据え、それぞれの大学が持つ強みと独自性を活かすとともに、各大学の教育研究リソースの相互活用もしながら、四国地域国立大学の教員養成機能の強化を図り、地方創生を牽引できる人材育成に取り組んでいる。

私たちの取り組み

「連携教職課程」の理念と目的

四国5国立大学が共有した理念は「広域分散協働」型の教員養成である。人口減少に伴う教員養成への影響は通常、集約や統合を想起させるが、教員養成大学・学部は各県の教育委員会と密接に連携し、それぞれの教育事情に応じた教員養成と教員研修を担っている。この役割を維持するため、県域を越えた連携体制を構築することとした。
こうした方針の下、各大学・学部の主体性と連携を両立させる方策として大学等連携推進法人制度を活用し、2023年度入学生から、美術、家庭、情報の免許教科において、全国初の「連携教職課程」の運営を開始した。
この取り組みで目指すのは第一に、各大学の教員養成機能の強化である。各大学の教職課程を維持したり、幅広い授業を提供したりするため、教育リソースの相互利用を可能とした。
第二は連携によるシナジー効果で、単独大学では実現困難な授業科目を創出し、教職課程の魅力化を図ることとした。これまで、参画大学教員共同による授業開設や、参画大学共同経費負担で世界的に著名な専門家による講義を組み込んだ授業などを創出している。
第三は、学生の交流拡大である。他大学生と一緒に授業を受け、同じキャリアを目指す学生同士の交流を活性化させることである。

3層組織による運営で人材育成を牽引

連携教職課程の運営開始から学年が進むごとに順次開設科目を増やし、2025年度の連携開設科目数は46、2024年度までの受講生数は延べ330人に達した。
各大学の緊密な連携の下、連携教職課程は3つのレベルの検討組織によって運営している。①教科部会、②教職連携委員会、③理事会である。教科部会では授業実施に関する具体の調整ならびに特色科目の検討などがなされる。各大学の学部長・副学長・理事クラスで構成する教職連携委員会では、連携教職課程全体の運営に関する調整が行われる。例えば、共通枠組みによる授業評価や授業実施等に係る支援金の調整などである。各大学の学長によって構成される理事会では、社団法人としての事業計画や予算などが審議される。

また、連携教職課程に加え、四国の「持続可能な地方分散型社会」の実現を目的に、地域の未来に直結する時宜に応じたテーマを取り上げ、5大学の専門家等が多角的な視点から意見を発信するシンポジウムを、各大学が持ち回りで年2回のペースで開催している。

建築家 隈研吾氏による講演会
広く一般に開かれた公開授業として実施

参画大学学生が合同フィールドワーク
学生交流が活性化